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ツバメその2 - Barn Swallow #2 - Hirundo rustica

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暑いのと、目の調子が悪いのと、植物の分類に熱中していたのとで、このところあまり熱心に自然観察はしていなかったのだが、昨晩夕立の激しい雨が降って程よく温度が和らげられた今日は、雲もきれいな夏らしいよい日で、これは出かけなくては、と久しぶりにため池巡りに出かけた。

オカトラノオが終わりを迎えつつある花は端境期、池の周りに草刈が入ったのではダメ、それでも見ているとカワセミがひっそり枝に止まっているし、オオヨシキリはまだしっかり居るし、顔に縞の残るカイツブリの高校生ぐらいのが独り立ちして潜っていたり、白っぽいノスリの子が親に何やら訴えていたり。ああいい日だなあ、と用意してきたトンボシステム(AF特化型)を出して、池のへりに腰掛ける。

トンボはもう盛りだ。いいぞギンヤンマ!とか、落ち着けトラフトンボ!とか、高校野球の監督と言うか、CM撮影中のレスリー・キーみたいな気分でトンボを追っかけていると、これが楽しい。すると、ジェ、ジェ、という声がして、上空にツバメの群れが現れた。

池ではツバメは常連だ。上空で虫をとり、池に飛び込んで水浴びをし、ついでに水を飲む。これを撮るのもまた面白いから、トンボで行こうか、ツバメに乗り換えようか、少し迷っていると、上空で二羽、ひっからまったようにくっついて落ち、また離れた。反射的にカメラを向けると、どうも幼鳥が、飛びながら親から餌をもらっているらしい。空中給油か。そんなのは聞いたことがないぞ。

そこからはトンボは止めて、真面目にツバメを追いかけたのだが、運良くかろうじて一回、だいたいのシークェンスを撮影することが出来た。ジェ・ジェと鳴き交わすのか、子どもだけが鳴いて催促するのか、そこはよく判らなかったが、とにかく鳴き声でコミュニケーションを取りつつ、ある程度高いところで子どもは口をでっかく開けてゆっくりと羽ばたいて待つ。親は様子を見ながら子の口に餌を突っ込む。この間、十全に羽ばたけないので両者の高度がすうっと下がる。補給が終わると、親はするっと体を回転させて、飛行態勢に戻る。

実物を見て、写真を見て、改めて思うことはツバメって飛ぶのが達者だな!という当たり前の感想だ。この親鳥(父か母かはわからない)の、余裕の表情を見てください。

感嘆していると、自慢するように僕の頭上すぐのところを代わる代わるシューッと飛んでゆくので、飛び越し際、風の擬音を「シュイッ」とひとつくれてやると、返事するように、チー!チー!と二声鳴いて去っていった。

今回は時系列でお送りします。

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↑ドッキング準備中。子は高度維持しつつ口を開けて待つ。親はゆっくりと接近し、脚を繰り出す

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↑準備完了!水平・垂直方向の乖離は首降りで吸収

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↑親は全翼全開で仰向けのままゆっくり降下。子は姿勢を変えて追従

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↑補給完了とともに、親は翼を軽く畳んで通常姿勢を回復

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↑おそらく子への干渉を避けるため、親はここで子を避けつつのけぞるように全速降下。子は余計なことをせず浮力優先姿勢

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↑両者、通常飛行姿勢に復帰。任務完了しました


一回目はこちら
この話には続きがあるのだが、それはまた今度。



[写真撮影: 2024/07 長野県 - 個人的博物館本館のツバメの類のページへ]
[photo data : 07/2024 Nagano, Japan - visit the main museum ("Swallows, Martins and Allies")]
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