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ケイマフリ - Spectacled Guillemot - Cepphus carbo

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昨年の今ごろというともう遠い昔のような気がするが、ともかく、一年前は何をしていたのだろう?と考えたら、北海道に行っていたことを思い出した。


寒い朝、雪道を車で納沙布岬の辺まで飛ばし、漁船に乗せてもらう。少し沖に出ると、何だか鈍くさい連中がぷかぷか浮かんでいるのだった。船が近づくと、慌ててペタペタと海面を走って勢いをつけ、少し飛んで逃げる。もたもたして逃げ遅れた場合は、いきなりドボン!と潜る。鳥というより、何だかバッタを相手にしているような感覚だ。

とは言え、とても寒いのだ。眼前に迫る流氷の壁を越えてきた風は本当につめたい。ただでさえ気温が低いのに、そんな風を真正面から浴びて、文字通り凍えながら、バッタ観察をしていると、何だか可笑しくなってくる。手足は寒さで痛いし、髭は凍るし、船は上下左右に傾くし、うっかりするとレンズを曇らせるので、気を緩めているわけではないのだが、笑いは腹の底から絶えず湧いてくる。

今から考えるとやはりこれは幸福感の一種だと思う。凍死しそうになる人間が、服を脱ぎ捨て「は、は、は、」と笑い出して同行者の背筋まで凍らせる、という話はよく見聞するが、それとは方向性が違うと信じたい。

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[写真撮影 : 2011/02 - 北海道根室市沖 - 35cm - 個人的博物館本館のカモメ・ミフウズラのなかまのページへ]
[photo data : 02/2011 - off Nemuro, Hokkaido - about 35cm L - visit the main museum (
Gulls & Buttonquails)]
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