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[這いずり日記] 北海道・道東 2011/厳冬

十日ほど、理事がアフリカに行くというので、じゃあ僕もどこかに行こう、ということにした。寒い時期だから、やはり寒いところがいいかな、と考えて道東を選んだ。


行ってみれば、意外と内外の写真愛好家やバードウォッチャーが多くて面食らった。最初はどうなることかと思いさえしたが、だんだん勘所が分かってきて、つまり人が集まる場所をうまく避けることを覚えて、そうすればもともと人口密度も低い地域だから、じっくりと一人を愉しめることに気付いた。

例えば、流氷が迫ってきている海辺、ひとり落ちているタイヤに腰掛けて、あんぱんを齧りながら、アラナミキンクロだのコオリガモだの、妙な趣味で着飾った海鴨を眺めていると、寒さだの、孤独感だの、幸福感だの、色々なものが染みてきていい感じだ。鴨の諸君も、最初はぎょっとして逃げるが、気配を消して座っていれば、徐々になじんできて気にしなくなってくる。時々アイコンタクトをして相互の意思を確認しながら、飽きるまで座っていた。

雪原をサクサクとひとり歩いて行くと、向こうから一直線にミミズクが飛んできたり。ウミバトやケイマフリを見たり。キクイタダキの群れに囲まれたり。色々とハイライトが多い旅だった。行く前は寒さが心配の種だったが、東京に戻ってみると、東京の気候の方が生ぬるくてやはりちょっと嫌な感じがする。人間の適応力もそれなりのものだな、というのも今回の発見だった。


[写真撮影 : 2011/02 - 北海道別海町] [photo data : 02/2011 - Bekkai, Hokkaido]
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