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カワアイサ - Common Merganser - Mergus merganser

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普段は静かな林ではあるが、事件簿でも言うべきか、特に川筋には時々珍客があらわれることがある。


この日は前の晩雨が強かった。午後巡回に出て、特に何も出ないなとか思いつつ、ふと川を見ると、小さな段差の落口の薮のところから、にゅっと突き出た赤い首を見つけたのだった。思わずぎょっとして見直すと、すーっと首を引っ込めた。そのまま上流にこっそりと移動して行くらしい。大きいし、ロボットみたいな動き方は直感だとサギ。えーアカガシラサギ?とか一生懸命考えつつ、一つ先の渕のところで待ち伏せをしていると、やって来た。違った。カワアイサの雌だった。

印象としては、東北とか北海道の湖や港で、厳冬期にプカプカ浮かんでいる鳥なので、ほう、と感心してしまう。確かに北海道で、雪原の川にいたこともあったから、ウミアイサじゃなくてカワアイサなのだろうが、それにしてもこんな貧相な流れにまでやって来るのか。ほう。

一回お互いに意識した間柄だし、もう小細工はやめて、堂々と立って見物させてもらった。最初のうちは先方も露骨に「え〜?」という顔をしてどうしようかな、飛び立とうかな、というそぶりも見せたが、川が狭いだけに飛ぶのも難儀らしく、やがて諦めて、というか開き直って、鳥の方も堂々と羽繕いを始めた。潜り、羽ばたき、羽に脂を行き渡らせ、こちらを見て、また浮かび、休み、潜って。一通りくつろいだあと、開けた、下流の方に向かって飛んでいった。

夏になると熱心な釣人だけはやって来るとはいえ、護岸という名前のコンクリートに固められて、もはや
カワセミすら養えないような貧しい川では、あの大きなカワアイサの胃袋は到底満たされないと思うが、こんなことになる前だったら、あるいは山のあちこちの川の滝壷で、プカプカと浮かんだカワアイサがヤマメだのアマゴだのをつるりつるりと丸のみにしていたのではないか。

だとすれば、こういう事件も、鳥の市場調査みたいなもの。あまり移入種には来てほしくないが、万が一ということもある、存分に調べていってもらいたい。(ちなみに、移入種ではガビチョウは出ないが、ソウシチョウは時々、やはり川筋にやって来ることがある)。

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[写真撮影 : 2016/12 - 長野県 - 約60cm - 個人的博物館本館のカモ類のページへ]
[photo data : 12/2016 - Nagano, Japan - about 60cm - visit the main museum "
Ducks & Geese"]
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