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ヤブサメ - Asian Stubtail - Urosphena squameiceps

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前々からその存在は聞いていたけれど、迂闊にも見たことのなかった小さなムシクイをようやく間近に観察できた。小さくて尻尾が短くて、みじめな外見を想像していたのだけれど、手指や嘴のすらっと長い、意外と色っぽい外見なのでおどろいた。

観察に至るまでには、うつくしい夫婦の協力があった(笑)。まず、早朝、単独で小屋から散歩に出た理事が「森の入り口の倒木の根のところで、見たことのないムシクイを見ました」と言って帰ってきた。図鑑を渡すと、自信満々に「これです」とヤブサメを指さす。理事の目、というか勘は確かだが、あまり緻密な観察を行う性格ではないので、「はいはい」と一応聞いておく。

何日かして、理事がこの鳥をみたという倒木とは反対方向にある河岸の段丘の林で、シュイシュイと虫のようにか細く鳴く生命に気づいた。あやうく見逃すところだったが、ヤブサメの話を聞いていたので、あるいは、と思う。笹藪の平に上がって誰何すると、確かに小さなムシクイが薮の中から様子を見にぴょん、あらわれて、また、薮にすとん、と落ちた。間違いない、ヤブサメだ。

そしてまた後日。その話を聞いた理事が、そこに連れて行ってください。と言うので、笹藪を目指した。並んで周りを観察していると、はじめは鳴いていなかったが、しばらくすると少し先の薮から飛んできて、二人の目の前の潅木のなかに入り、こちらを見たり、また横を見たりしながら、精いっぱいの大きな声をあげて、シュイシュイと囀った。

以上で今春のヤブサメと僕たちとの邂逅の物語は終わり。

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[写真撮影 : 2015/05 - 長野県 - 約10-11cm - 個人的博物館本館のウグイス・ムシクイ・ヨシキリなどの類のページ]
[photo data : 05/2015 - Nagano, Japan - abt. 10-11cm L - visit the main museum ('
warblers and allies')]
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