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ツツドリ - Oriental Cuckoo - Cuculus optatus

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このブログではよく「なぜここに君が」と書くが、今回のケースもこれに該当する。ツツドリ。青葉の山の、それも少し山の深いところで耳を澄ますと、遠くから、ポッポッ、ポッポッ、と独特な鳴き声を響かせているカッコウの親戚だが、この鳥がゴビ砂漠の辺縁の岩壁にいた。

岩壁と言うか、大岩壁だ。なぜ岩壁をみていたのかと言うと、こういうところにはWallcreeper、カベバシリという珍しいゴジュウカラの親玉がいるかも知れないからで、視界の半分を占める巨大な岩のデコボコを、ずぶ濡れになりながら、僕は裸眼で、理事は双眼鏡で、飽きるほど眺めていたのだった。

すると、何やら視界のすみっこで、黒っぽい大柄の鳥が、壁に沿って、ニョロニョロと飛んでいるのに気付いた。すばらしい保護色で、止まると見えなくなる。飛ぶとまたニョロニョロして、ゴージャスな羽飾りや、赤い口が見える。なんだあれは、としばし呆然としたが、そうかカッコウか、と気付いた。カッコウはだいたい変な鳥で、変な鳥はカッコウである確率が高い。(ほんとうか?)

それにしても、ツツドリといえば、もう日本の初夏の風景や、若葉の匂いと頭の中で優雅に、しかししっかりと結びついているから、いきなりあんな変なものがツツドリと言われても困る気がする。でも目を凝らして見ていると、挙動がなんだかドタバタと慌てているようで可笑しい。そのゴージャスな羽も、どこか持て余し気味だ。君はそこで幸せか?と要らぬ心配をしたくなる、場違いな若鳥なのだった。


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Wallcreeper については後日談がある。モンゴルではガイドを雇っていたが、ガイド君は Wallcreeper を知らず(ただし調査団にも同行した経験があり一般的な知識はあった)、また雨の中、物好きに付き合わせるのも気の毒だったから、「お前には無理だ」とこの時は先に帰して、僕等だけでゆっくり岩壁を眺めていた、のだったが残念なことに巨大ゴジュウカラは見つからなかった。

モンゴルから帰国してしばらくした後、件のガイド君からメールが来て、僕、昨日までイギリス人の娘達をガイドしてゴビに行ってたんだ、この辺には Wallcreeper がいるんですよって受け売りしたらひとりが目を輝かせて、すごい!見たい!というので、同じ場所に連れてった。そしたら、出たんだよ、Wallcreeper!僕、彼女からほっぺたにチューしてもらっちゃった。やーいやーい。

愕然とするほど心無いメールだったが、君にはチューの権利はない、ただちに彼女に return すべきだ、と返信したのは言うまでもない。

2017/12 : 種の分割に伴い学名を変更。

旧:Cuculus saturatus
新:Cuculus optatus

[写真撮影:2012/08 - モンゴル - 体長約30cm - 個人的博物館本館のカッコウのなかまのページへ]
[photo data : 08/2013 - Mongolia - about 30cm - visit "
Cuckoos and Allies" (main museum site)]
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