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[這いずり日記] 沈黙の秋。「水」の巻~長野方面2017/秋その1

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海外から戻って、東京でドタバタと雑用を片づけ、山に戻ってくるが、あまり快調とは言えない。


山は既に結構冷え込む。疲れもあって早速風邪を引き、咳をしながら溜まった仕事を片づけて行く。熱帯の毒気に当てられて意気消沈している上に、夏をすっ飛ばして秋の世界に来てしまったから、どうも気分は上がらない。夜半、クスサンがこつこつ、と窓を叩いたりするのがまた寂しい。

ヒタキやらハチクマやら、夏鳥はまだ木の高いところ、空の高いところに残っているが、鳥はおしなべて声を失ったように押し黙っている。イカルやカケスが思い出したように声を絞りだすが、空気はやや重苦しい。ゲンゴロウの池でカイツブリが子育てをしていたのと、アオバトの一団が戻ってきたのと、山から下りてきたと思われるビンズイの一群が小屋にやって来たのが数少ない明るいトピックス。あ、僕等が戻ってきたのを喜んだ(と思われる)キジバトのつがいが、僕等の目の前にわざわざやって来て、それはそれはくつろいだ揚げ句、交尾しだしたというのも面白かった。

虫も冬支度だ。
ヒョウモンは飛んでいるが、既にみなボロボロになっている。林にもクワガタの死体が転がっているのも寂しい。目立つのはホウジャクとハナムグリ、そうだ、トンボだけは熱い。小屋の裏の池ではルリボシヤンマが死闘を繰り広げている。死闘というのは誇張ではなく、本当に池には死体が浮かんでいる。その死体の上空で、日がなバチン、バチンという音とともに空中戦が行われており、取っ組み合ったまま草むらに落ちて進退窮まるものもある。つまり本物の死闘である。

台風が過ぎた二日後、林のあちこちでニョキニョキと色々なキノコが出てきた。キノコの同定にも手を出してみるものの、これが予想外に厳しい。イグチが多いが、ぜんぜん取っ掛かりが掴めない。ハナイグチがまだ出ていないのはわかるが、まぁそのくらいだ。イグチとわかればその先はたやすいかも、という期待は崩れ去った。秋しか実践の場がないのもつらいところだ。

花はほとんど入れ替わっていて、カリガネソウも全部終わっていた。絶讃開花中(現時点で終わったものも含む):ヤクシソウ、セキヤノアキチョウジ、ナギナタコウジュ、ツリフネソウ、キツリフネ、オタカラコウ、オオバコのなかま、アカツメクサ、シロツメクサ、ノギク三種、キンミズヒキ、ミズヒキ、ゲンノショウコ、ヒメジョオン、マツヨイグサ、サラシナショウマ、イヌタデ、オオハンゴンソウ、ツユクサ、オトコエシ、ヤブジラミ、ツリガネニンジン、アケボノソウ、アキノキリンソウ、フシグロセンノウ、トリカブトのなかま、ヒメフウロ、など。

まずは水の巻、というか抽象の巻。

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天と地の巻はこちら


[写真撮影 : 2017/09 - 長野県] [photo data : 09/2017 - Nagano]
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