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[這いずり日記] シオシオのパー。水の巻その三~長野方面2019/11

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去年の、あの嫌な11月の日記が、中途で止まっていた。決して忘れていたわけではなくて、文章はずいぶん前に書いてしまっていたのだが、一緒に出す写真の整理に手間取っていた。

何せあの月は、葬式で山を下りたり仕事をしたりする以外は、憮然として川の写真ばかり撮っていたから、枚数が多い。実はまだ整理が終わっていないのだが、色々区切りもつけたいし、途切れ途切れでも、少しずつ出すことにした。

ここまでの話

水の巻、その1
水の巻、その2


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で、K に続いて O の話。

O とのつきあいは K よりももっと古くて、隣のクラスに居た中学一年の時から。尤も親しくなったのは高校を卒業して、O が酒を飲むことを憶えてからだと思う。酒を飲んで意気投合したとかそういうことではなくて、たぶん、O が酒の力を借りて人と付き合う方法を身に付けたから、という気がする。

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改めて思うが、O にはある種、発達障害的な部分があり、人との距離を測ったり、人の感情を読んだりする機能はほとんど備わっていなかった。まぁ幼時から色々苦労したのではないかと思うが、ともあれ、20歳前後の O 青年は、独特の愛嬌がある一方で、酒の力を借りながら熱く建築を語る、理屈っぽくて、独善的で、前のめりの、攻撃的な人間になっていた。

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今の言葉で言えば空気だとか、忖度だとか、そういうものと全く無縁の O の破調が僕は大好きだったから、一緒に良く飯も食ったし、旅行にも行った。ヨーロッパの田舎道で、僕が床いっぱいまでアクセルを踏んづけて駆り立てる45馬力の初代フィアット・パンダの取り外し可能なリアシートに陣取り、町のスーパーで買ったワインをガブガブとラッパ飲みしながら、前のBMWなど抜いてしまえ!スペックを超える運転をしろ!とか色々ガウガウと吠えたてる O は本当に楽しそうだった。

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そう言えば、吠える割には自分ではやれないことが多いのも O の特徴だった。これは前述のセンサー不全が関わっているのだと思うが、得意なことが得意な反面、自分の手では全くできないことがずいぶんと多かった。「全くお前はしょうがないなぁ」とか言われつつ、人を頼ったりしてうまくごまかしながら切り抜けていたが、これも苦労したんだろうなあ。まぁ、建築で賞も貰っているのだから、得意なことは確かに得意だったのだ。

(本項、多分あと二回くらい続く)

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水の巻、その1
水の巻、その2
水の巻、その3 <- いまここ
水の巻、その4
水の巻、その5
地の巻、その1
空の巻、その1


[写真撮影 : 2019/11 - 長野県] [photo data : 11/2019 - Nagano]
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