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[這いずり日記] しけた冬のはじまり。「水」の巻~長野方面2017/冬その1

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用事と用事の間、単独で一週間。


山は閑散としている。夜になると鹿がぴゅうぴゅうと鳴き、葉の落ちた林ではフクロウが見られたが、冬鳥の出足は良くない。一週間、丹念に鳥の気配を探して、やっと、カシラダカ、マヒワ、カヤクグリ、ルリビタキを確認したが、数はそれぞれに少ない。本来いなくてはいけないはずの、ツグミもまだ見ない。一方で、とうとう、本来いてはならないはずの、ガビチョウの群れに遭遇してしまった。山梨に到達して十年、とうとう峠を越えて来やがったな、と舌打ちをする。

最低気温はだいたい -4C くらいまで下がり、向こうの山も、こっちの山も、上の方は真っ白。最初の頃は
トンボもまだ多少残っていたが、後半はオツネントンボを除いてほぼ死滅。サシガメスズメバチ、残っている奴等も必死だ。外にテーブルを出して昼飯を摂ろうとすると、シダクロスズメバチが一匹、遠慮会釈もなくなりふり構わず突進してきて、サンドイッチを持った僕の手に止まり、僕が食べようとしているサンドイッチの、パンとパンの間に(僕より先に)頭を突っ込む。おいおい退け(手で払う)、いやだブーン(すぐ戻る)、などと諦めないので、チーズの切れ端を机に置くと、黙々と横で食べていたりする。

夏の疲れやら、ストレスやら、寒さやら、積年の金属疲労(老化とも言う)などがあり、ただでさえ首の周りが痛かったりしびれたりするのに加え、ガビチョウを追った時に石からの着地に失敗して転倒し、料理をしている時には手違いが重なり指二本の先をスライサーでスライス。極め付けは、ここ一月、舌の先に何やらポッチが出て引っ込まないので、観念して口腔外科に出頭したら、性質の悪いものじゃないけど、薬で治るものじゃないから取ってしまいましょうね、と、予期せぬ手術(五分で終わったけど)の対象となり、まぁ一言で言えば満身創痍。少し休めということだと理解しているが、寒風のアカトンボのように頼りない。

鳥の確認の一環で、下の部落まで徒歩で下りて行くと、珍しく、村の人、近所の人、知った顔に次々とすれちがった。皆、ぎっくり腰がどうの、最近目がよく見えない、首を手術したが良くない、風呂場で転んだ、など、挨拶代わりに不調を訴える。僕も堂々と、首が痛くて、膝を打って、指を切って、舌も切られましたと訴えた。お互い大変だねえ、などと立ち話をしていると、雪がひゅうひゅうと舞ってきて、寒さが身にしみる。全く、しけた冬の始まり。

今回は三回に分ける。下に水の巻、それから木の巻、地の巻。

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木の巻はこちら
地の巻はこちら

[写真撮影 : 2017/11 - 長野県] [photo data : 11/2017 - Nagano]
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