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[這いずり日記] 長野方面 2015/初夏その3

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東京に戻って二泊し、また山に出向いて一週間。まぁいろいろあった二週間だった。


心理的には長かったストーリーを端折って書けば、最近若干の体調不良があったところに、人間ドックで深刻な事態も想定される結果が出たのである。最終的には、いわゆる精密検査の結果、命にかかわるような病気はない、という診断が下ったのではあるが、一時は死病を得たかと茫然とした。もうだめだ、とまではさすがに思わなかったが、三割、いや四割の確率はあるか、と想定し、頭の中でいろいろシミュレーションを行う毎日が続いた。楽しい作業ではなく、むしろ暗然とした中での行為だったが、それでも考えて初めて明らかになったこともあり、いずれ来たるべき事態に向けて、よい予行演習となった。

病院は小屋の近くの綜合病院なので主に山にいたわけだが、そのような事情もあり、また梅雨の時季で雨ばかり降っていたため、あまり観察はできなかった。鳥は主に鳴き声によるが、
キビタキ、センダイムシクイ、ノジコ、ウグイスサンショウクイ、カッコウ、ホトトギス、イカルあたりの常連に、時々聞きなれないヒタキの声が混じる。雨で暗くなると、すかさずクロツグミが機嫌よく囀るのがおもしろい。

虫は引き続きよい季節だが、鱗翅類にはいろいろと細かい変動がある。
ウスバアゲハは衰えてきて、あんなにつきまとっていたキマダラヒカゲやヒオドシは見なくなった。かわりに暗い日はウラジャノメがひわひわと飛ぶ。イチモンジ、コミスジ、ホシミスジのミスジ三兄弟がとうとう出てきて、夜は当地では初見のウンモンスズメが美しい。

とは言え雨模様の日は虫の観察にも向かないので、
エゾエノキの話に多少刺激を受けて、小屋近隣の周りの植物を調べることにした。植物といってもどこから手を付けて良いやらわからないので、まずは開花しているものから。林の中、ヤマオダマキ、ウツギ、マムシグサ、ノイバラ、アヤメ、クサノオウ、オドリコソウ、くらいはよいが、切り開きや小屋の周囲はひどい。シロツメクサ、アカツメクサ、ハルジオン、この辺まではまだゆるせるが、その先、アメリカオニアザミ、ムシトリナデシコ、ムラサキツユクサ、コンフリー、等々。要は帰化植物、園芸植物、侵略中の外来植物のオンパレードである。

動物ならば(大きさや重要度などにもよるが)外来生物が入ってくればそれなりに情報もあり、警戒もされるが、この植物の無法ぶりはどうだろう。確かに村落に下りれば極彩色の花がたくさん植えられているのだから、自然の結末ではあるのだが、人間がせっせと外来植物を招く一方で、絶滅したり、増減する昆虫や小動物も多いのだろうな、と思うと、これもまた暗然とした気分である。

ただ、いずれにしても、良かった。心から。

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風景の写真はよいものがないので、おたまじゃくし(親がまわりでぴょんぴょんしているから、
ヤマアカガエルではないかと思うがよくわからない)、それから、俄に研究中(笑)の植物の写真から何枚か。

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↓ヤマオダマキ(キバナノヤマオダマキ)Aquilegia buergeriana f. flavescens
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アヤメ Iris sanguinea
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コンフリー comfrey Symphytum officinale
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[写真撮影 : 2015/06 - 長野県] [photo data : 06/2015 - Nagano]
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