pmnh wildlife portrait archive : travelog

[這いずり日記] ギリシャ・クレタ島 2011/晩夏

またギリシャにちょっとした用事ができたので、急遽クレタ島に行くことにした。行くことにした、と言っても、アテネでの用事にいつ片が付くかわからず、また次の週は予定が色々とあるという事情があり、なんとかやり繰りをつけたが結局二泊三日という短い旅になった。

クレタというと、昔、冬、荒れるエーゲ海を渡るフェリーで長い時間をかけて立ち寄った記憶があるが、今回は飛行機、しかも立派なジェット機で、アテネからほんの30分ほどでイラクリオに着く。北欧からの観光客が多くて、場違い感がひしひしと伝わってくるが、そこはまぁ、ギリシャなので違和感はない。

借りたオンボロのシュコダを駆って東に向かう。今回、時間もないので、渡ってくる渡り鳥の中継地点と言われる場所に狙いを定め、そこで三日を過ごす計画だ。ただ、これはギャンブルであって、渡り鳥がまだ来ていなければ、あるいはその場所がよくなければ、すべてオジャンということになる。

目的地に辿り着いてみると、これがひどい。バカンスの滞在地の、上等とは言えない砂浜の裏手に、この季節は涸れている川の河口があって、すさんだ原っぱになっている。焼け焦げるような暑さの中、酒瓶、ちり紙、兎の糞、犬の糞、バギーのコース、そんなものに混じって、
ヒバリだの、ヒワだのが飛んでいる、が、渡り鳥の姿は全く見えない。つまり、賭けには完敗。向けたレンズの遠い先にすっぽんぽんの娘がいたりするのが、また何とも失望感を倍加させるのだった。

暑いし、夜は蚊に責められるし、場違い感も更にひどいから、最終日はとうとう原っぱを棄てて山に向かった。ゴツゴツした禿げ山が連なっていて、ギリシャの南部に近い風景がひろがっている。やっぱり焦げ付くように暑かったが、それでも自分の足で歩き回れば、山の鳥も居るし、鷹も飛んでいるので多少は気休めになった。だが、そこで時間切れ。

覚悟の上とは言え、クレタ島に二泊では如何ともし難いのだった。


[写真撮影 : 2011/09 - ギリシャ・クレタ島] [Photo data : 09/2011 - Analipsi, Crete, Greece]
[Sleeker_special_clear]