pmnh wildlife portrait archive : travelog

[這いずり日記] 徳島・室戸岬 2010/冬

また四国で用事があったので、居残って今回は東にまわった。徳島県というと、もう大分前に一度仕事で阿南に立ち寄ったことがあるだけなので、ほとんど記憶はまっさらだ。その空白地帯に入って、南阿波、徳島市それぞれで三日ずつを過ごした。

実のところ徳島での自然観察はあまり期待をかけていなかったのだが、これが案外と良かった。こう言うと徳島のひとには申し訳ない気もするが、人が少なくて、愛媛や香川より自然が豊かだ。海老ヶ池の静かなたたずまいも良かった。徳島市近郊の低山で、人の音が一切しなくて、鳥の声がうるさいくらいに響く雑木林の峠道を、至福の峠道を、久しぶりに堪能した。その翌日には、吉野川の川原で、ミサゴが旋回しては川にどぼん!と飛び込むのを飽かず眺めた。

今までは、四国というと、なんとなく、足摺と室戸が両足で、佐田岬と鳴門あたりが腕、頭は北を向いてかがんでいる、というイメージを持っていたのだが、今回の旅を通じて、今はこれを訂正したい気分である。つまり、徳島は口であり、吉野川は内臓に通じている。どちらが背か腹かは、ちょっとまだ迷いがあるが、たぶん瀬戸内側が腹。高知が背と尻。つまり、この十日の間で、僕の頭の中では、四国はY軸を中心に90度回転し、Z軸を中心にまた90度回転することになった。

写真は海老ヶ池で。足許で何やらクイナが出たが、写真を撮る間もなく、茫然と見送らざるを得なかった。


[写真撮影 : 2010/12 - 徳島・海老ヶ池] [Photo data : 12/2010 - Ebigaike Pond, Tokushima, Japan]
[Sleeker_special_clear]