[這いずり日記] 和田堀公園・善福寺川伐採計画について 2009/秋
11/04/09 03:12 category :travelog
これが這いずり日記かと言うと違和感があるが、まぁ別の意味で這いずっているということで、このカテゴリに入れることにした。
僕がいつもこのサイトで「裏の公園」と呼んでいるのは東京の和田堀公園、とりわけその周縁部なのだけれど、十日ほど前、友人と二人で巡回に出かけて仰天した。いつものエリアを含む幅広い地域の樹木に、赤テープが巻かれていて、そのテープには黒々と「伐」と書かれている。冬鳥の採餌する照葉樹のエリアも、ハバチや寄生蜂の豊かな潅木のエリアも、太い木も、中ぐらいの木も、あちらも、こちらも、伐採検討対象樹木、200本以上。狼狽。暗鬱。
僕がいつもこのサイトで「裏の公園」と呼んでいるのは東京の和田堀公園、とりわけその周縁部なのだけれど、十日ほど前、友人と二人で巡回に出かけて仰天した。いつものエリアを含む幅広い地域の樹木に、赤テープが巻かれていて、そのテープには黒々と「伐」と書かれている。冬鳥の採餌する照葉樹のエリアも、ハバチや寄生蜂の豊かな潅木のエリアも、太い木も、中ぐらいの木も、あちらも、こちらも、伐採検討対象樹木、200本以上。狼狽。暗鬱。
もしこのまま実行に移されると、周辺の環境が一変するくらいのインパクトのあるショッキングな計画であって、これは何とか阻止せねばならない、と腹を決め、翌日から関連事務所などにコンタクトを取った。大したことはしていないし、途中経過は省略するが、結局こういうことらしい、つまり、公園を管轄する東京都から、公園管理上必要な伐採・剪定を行いましょう、というオーダーが現地の管理事務所にあり、管理事務所と、実際の作業を行う造園会社が、「候補」に赤テープを巻いていった、と。そして、最終計画は、都側の実地承認を得てから計画に移される、と。
僕にとって幸運だったのは、タイミング良く行動に移せたために、一部ではあるが、都の実地承認の作業に立ち会わせてもらうことができたことだ。そしてそれより多分もっと幸運だったのは、都の責任者の方に、「危険木・越境木など、本当に必要なもの以外は伐らない」「鬱蒼と茂っている林がこの公園のひとつの特徴である」という認識、さらに言えば自然公園のあり方や種の多様性に対する理解があったことで、実地検分は、伐採計画の大幅縮小という結果で終了した。具体的に言うと、210余の候補に対して現時点で赤テープは約20本である。今後、伐採予定の標識を設置して、住民からの意見などを最終確認した後、実行に移されるということだ。自分の観察フィールドや思い出のある木に赤テープが巻かれていた人は、言えばまだ間に合う。ちなみに、青テープは剪定予定対象樹木だ。
ということで、正直ほっとした。東京のような場所で、この規模の公園というのは本当に難しい。公園だから人が集まれなくてはいけないが、騒ぐと怒られる。目の前に木が生えていると喜ぶ家と、悲しむ家がある。僕の立場から言えば、走り回る子供やイヌから野生動物の好む環境を良好に遮断している樹木や潅木帯を、見通しが悪いから伐ってくれという人がいる。まぁもっとダイレクトな対立で言えば、生き物は気持ち悪いという人もいるわけだ。いずれの勢力も宿命的に妥協の必要があるが、A勢力にはどっちても大したことでなくても、B勢力には致命的ということもあろう。また、誤解や無理解に基く対立もあろう。そういうことを解きほぐせば、多少なりとも対立は和らげられる、と、祈りたい。
最後に、感じたこと。公園を実際に管理されている現場の事務所や造園会社の方は、こういうケースで、必然的に、公園を樹木から見ている。そして、樹木を見る時に、庭木のように見ている。だから、形が悪い木や弱った木、枝や葉が密集している部分は、当然排除されるべきものとして考えられている。これは選ばれた樹木の生育上、そして特定の審美的基準にはよいことかもしれないが、動植物相全体の豊かさに与える影響は必ずしも好ましくない。虫の視点、鳥の視点など、追加せねばならない視点があるのではないか、という気がした。
写真は赤テープを巻かれた木。守り切れずに済まん。
[写真撮影: 東京都杉並区、2009/11]
[photo data : 11/2009, Tokyo, Japan]
僕にとって幸運だったのは、タイミング良く行動に移せたために、一部ではあるが、都の実地承認の作業に立ち会わせてもらうことができたことだ。そしてそれより多分もっと幸運だったのは、都の責任者の方に、「危険木・越境木など、本当に必要なもの以外は伐らない」「鬱蒼と茂っている林がこの公園のひとつの特徴である」という認識、さらに言えば自然公園のあり方や種の多様性に対する理解があったことで、実地検分は、伐採計画の大幅縮小という結果で終了した。具体的に言うと、210余の候補に対して現時点で赤テープは約20本である。今後、伐採予定の標識を設置して、住民からの意見などを最終確認した後、実行に移されるということだ。自分の観察フィールドや思い出のある木に赤テープが巻かれていた人は、言えばまだ間に合う。ちなみに、青テープは剪定予定対象樹木だ。
ということで、正直ほっとした。東京のような場所で、この規模の公園というのは本当に難しい。公園だから人が集まれなくてはいけないが、騒ぐと怒られる。目の前に木が生えていると喜ぶ家と、悲しむ家がある。僕の立場から言えば、走り回る子供やイヌから野生動物の好む環境を良好に遮断している樹木や潅木帯を、見通しが悪いから伐ってくれという人がいる。まぁもっとダイレクトな対立で言えば、生き物は気持ち悪いという人もいるわけだ。いずれの勢力も宿命的に妥協の必要があるが、A勢力にはどっちても大したことでなくても、B勢力には致命的ということもあろう。また、誤解や無理解に基く対立もあろう。そういうことを解きほぐせば、多少なりとも対立は和らげられる、と、祈りたい。
最後に、感じたこと。公園を実際に管理されている現場の事務所や造園会社の方は、こういうケースで、必然的に、公園を樹木から見ている。そして、樹木を見る時に、庭木のように見ている。だから、形が悪い木や弱った木、枝や葉が密集している部分は、当然排除されるべきものとして考えられている。これは選ばれた樹木の生育上、そして特定の審美的基準にはよいことかもしれないが、動植物相全体の豊かさに与える影響は必ずしも好ましくない。虫の視点、鳥の視点など、追加せねばならない視点があるのではないか、という気がした。
写真は赤テープを巻かれた木。守り切れずに済まん。
[写真撮影: 東京都杉並区、2009/11]
[photo data : 11/2009, Tokyo, Japan]
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