pmnh wildlife portrait archive : travelog

[這いずり日記] ベトナム南部・中部 2009/夏

ラオスがいい、という話を聞いて今年の夏はラオスに行こうかと考えていたのだが、いい、という情報の一方で、どうも鳥が少ないらしい、少なくとも山奥に入り、忍耐強く構えないと鳥の観察は難しい、という情報も上がってきて、大いに迷っていたところ、仕事に疲れた理事が「ベトナムにしましょ」というので結局ベトナムに出かけた。「ベトナムにしましょ」という理事の顔には、「その方がラクチンそうだから」という表情がありありと見て取れた。
知り合いのOLなどからベトナムの楽しい話は聞いていたので、もっと開けてしまった国を想像していたのだが、それでも最近まで戦争をしていた国、最近までとても貧しかった国であって、サイゴンなどはアジアの大都会だったけれども、田舎に出れば適度に交通事情が悪くて自然観察にはいい感じである。車からひなびた風景を愉しんでいると、突如村の高校から、純白のアオザイを着た女子高生が一斉に通りに出てきたりして、なかなか油断がならない。アオザイの女子高生に限らず、若い女の子がなんだかよい表情をしていて、村や町をずいぶん明るくしている。ひげ面の僕を見て「ハーイ」なんて挨拶をしてくるのもいい感じだ。

こっちも「ハーイ」とか言いながら村のカフェでビールでもぐだぐだ飲んでいればそれはそれでまた一局の将棋であったかもしれないが、自然観察写真家としてはそういうわけにもいかず、残念なことに結局毎日森の中を歩いた。ヒルに喰われたり、ぬかるみに足を取られたりもしたが、trogon だ、pitta だ、orioleだ、と楽しい毎日だった。ただ、毎日の予定を立ててしまったために、どうにも精神的に疲れた。高校の山岳部の合宿のように、夜寝る前が一番楽しくて、朝起きる時が一番つらい。起きてしまえば、trogonだ、pittaだ、というわけで元気も出るのだが。

そういう訳で、なんとなく楽しいような、苦行のような、どこか中途半端な三週間だった。写真はダラットの郊外で。この辺で Crocias や Forktail も見たが、理事が堪能したという Cutia は見逃した。


[photo data : 08/2009 - Dalat, Vietnam]
[Sleeker_special_clear]