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ハナナガサシオコウモリ - Proboscis Bat - Rhynchonycteris naso

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アラパウの周辺には村などはないから、移動はもっぱらカヌーだ。何か出ないか、カヌーの中から目を凝らす。

空が広いコランティン川から支流に入り、その支流が細くなってくると、だんだん、両岸(いや岸ですらなくて、マングローブ林みたいに、ずっと水面が広がっている場所も多い)から木やつるが迫ってきて、ぼやっとしていると頭や肩にぶつかる。首をすくめたり、枝を握ったりしてやり過ごしていく。

濃密な雰囲気や、ごちゃごちゃのうつくしい光景に圧倒されつつ、時々は
イグアナのジャンプに驚かせられたりしながら、ちゃっぷんちゃっぷんと漕ぎ進むカヌーに座って、何か出ないか、何か出ないか、と神経を集中させてゆく。

そうすると、確かに変なものが出るのに気付く。カヌーの少し先の倒木、岸の岩から、突然、小さな黒っぽい物体がいくつか堪りかねたように飛び出し、見事な編隊飛行を披露して少し先に消える。コウモリだ。

問題は、このコウモリが、止まっている時にはうまく擬態をしていて、ぴたっと気配を消すことにある。10m先のあそこの倒木に、まず間違いなく何匹か止まっているはずだ。それはわかる。しかし、5m先まで近づいて、飛び出すまで、全くどこに止まっているのかわからない。そして、するすると飛んで少し先の倒木にまた止まるが、止まった瞬間から、既にどこに止まったのかもうわからない。これでは撮影できない。

あまりコウモリに集中すると、飛び立つ
トキの撮影に失敗したりする(した)し、鳥がなけばそちらに注目するから、コンチキショーメ、コンチキショーメとか思いつつ、少しずつ手がかりを集め、学び、検討して数時間。やっと、目星がつくようになった。

つまり、止まったものを背中から見ることができれば、星形、ヒトデみたいな形の焦げ茶の物体になる。横から見ると、鼻をつん、と突きだして、三角のこぶ、枝の折れた跡みたいな形になる。

本当は飛んでいるところを撮ろうという野望もあったのだけど、もたもたしているとひゅっと飛ぶし、カヌーの上はゆらゆらのグルグルだから、それなりに苦労もしたし、まぁ、一定の成果を見て、それなりに満足した、ということにした。

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↑まぁ、見えるようになれば、こんな風に見える。

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↑目、鼻、耳がわかる。

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↑よくわかったな、と言うように、ニヤリとしたところ(推定)

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↑上の方にある写真とは別の場所で撮ったものだが、同じような格好をしている。得意のポーズだな。

あるいは昼行性かと思ったが、やはり夜行性らしい。


[写真撮影 : 2017/08 - スリナム・アラパウ - 約10cm - 個人的博物館本館のコウモリのページへ]
[photo data : 08/2017 - Arapahu, Suriname - about 10cm - go to page "bats" of the main site]
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