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ツリフネソウ - Impatiens textorii - Touch-Me-Not

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8月になると、肉色の唇をしたこいつらがちらほらと咲き出して、ああもう夏も終わりなんだな、という気がしてくる。

それにしても奇怪な花だ。色も生々しいが、後に突き出た距の先が、巻き貝の実の端のように、或いはシュルレアリストの絵の生首のように、くるりと白く渦巻いているのがまず気になる。それから、ぽつ、ぽつと斑点が透けて見える白い魚の腹。正面に回ると、ぬめぬめ、てらてらと光る肉厚の花弁が、だらしなく開いている。

今はまだ道の脇や、小屋の玄関のところに少しずつ花が顔を出しているだけだが、もう少しするとあちら、こちらで花が増えて、まとまった数が一斉に咲くようになる。較べてみると器量の良い花もあるのだが、だいたいは、傷んだり、よじれたりして、あまり均整のとれたものがない。なんだか、ぺらぺら、ぐしゃぐしゃした感じになっている。

まぁでも純真な目で眺めれば(笑)、くるくると巻いたしっぽもかわいいし、全体の造形も、魚っぽいディテールも、個性的でおもしろい。上方から吊り下げるという方式も愉快だ。吊り下げ方は全然違うが、茅野にある藤森照信の「空飛ぶ泥船」と名付けられた茶室を、ちょっと思い出す。

写真はここ五年のものだが、だいたい、9月が一番多くて、8月、7月が少しという構成比。キツリフネ(黄色い近縁種)も同じように咲くが、どういうわけかまずキツリフネが咲いてから、ツリフネソウが咲き出し、しばらくはツリフネソウの時代が続いてから、キツリフネがまた追いついてくるという感じで開花する。対岸の水路沿いに、花畑のようにこいつとキツリフネが咲き乱れる場所があるが、もうしばらくすると、
ホシホウジャクが現れて、忙しく蜜を吸い出す、のを撮影する、というのが毎年の、秋の愉しみ。

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8/29 追加。今年もホシホウジャクが元気に出てきた。

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[写真撮影: 2019-2023/07-08-09 - 長野県 - 草丈50cm内外 - 花長約30mm - 個人的博物館本館の「ツツジ・サクラソウ・ツバキ(ツツジ目)のページ」へ]
[photo data : 07-08-09/2019-2023 - Nagano, Japan - Balsaminaceae - height 50cm+ - Flower Length 30mm+- - go to "
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