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ミナミベニハチクイ - Southern Carmine Bee-eater - Merops nubicoides

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きれいどころ虫干しシリーズその3。ハチクイは好きな鳥だし、あちこちで色々な思い出があるが、その中でも特別な位置を占めているのがこのハチクイだ。


ナミビアと言っても端っこの端っこ、オカバンゴ川対岸のアンゴラを見ながら砂利道を進み、ボツワナ国境の柵のところで引き返したところにある保護区。四駆でざっと流して、そろそろ帰ろうか、とサバンナの細い枝道を辿っていたのだが、ちょっと開けたところにさしかかった時にトラブルは起きた。ここは来た時も一度通っていて、轍が錯綜している。行きに通った黒くて固いところの乗り心地がずいぶん悪かったので、何気なく、白くて柔らかそうな轍に入った、、、のが大きな間違いで、車は深い砂にたちまちスタックしたのだった。

保護区と言うのは車で入れるところでも、特別に囲ってある場所以外は下車禁止だ。それは自然保護云々という観点というより、単に下りると獣に襲われる危険があるからで、要は無闇に下りると危ないのだ。この保護区には少ないとは言えライオンもいるし、ネコ系の本職に襲われるとひとたまりもないから、おそるおそる車から降りて砂からの脱出を試みるが、砂は予期していなかったので板もないし、手の打ちようがない。日が暮れてきたので、翌日に期待し、車に戻り、もう諦めることにした。

夜、びっくりする位冷え込んだ車内で、色々なことが頭を巡る。道とは言え地の果て、場末の保護区の枝道、そうそう車が来るとも思えない。水は二日分くらいはあるが、食料が限られているから、車に篭城するとしても二日が限度だろう。歩いて行くと入り口の管理事務所のゲートまで約10km、二時間。二日後に決断を迫られるのか。いやそれよりも、稀とは言え野火が起きたらどうするのか。云々。

夜が明けて、車が通らないかとじりじりしながら待つ。たぶん来るなら動物観察に適した朝一番だろう、という期待は裏切られて、物音すらしない。六時、七時、八時、もう今日はダメか、明日の晩には決断を迫られるのか、と暗鬱な気分になってきた頃、唐突に薮の向こうから現れたのがミリタリー仕様のジープ二台だった。運転するのはドイツ人のプロのガイド。ウィンチで引き上げてもらい、「次からこういう時はタイヤの空気圧半分抜くといいよ」と言って何事もなかったように去って行く。ありがたい。もう拝みたいくらい。

興奮し、放心もしている、複雑な心のまま走り出した時、木の高いところからこちらを見ていたのがこの鳥。ネボケた僕たちの目を覚ますのには十分過ぎる、キラキラと輝く本当にまぶしい紅色だった。

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[写真撮影:2005/08 - ナミビア・マハンゴ国立公園- 27cm -個人的博物館本館のカワセミ・ブッポウソウのなかまのページ]
[photo data : 08/2005 - Mahango NP, Namibia - about 27cm w/out tail-streamer - go to "Kingfishers and their related birds" in the main museum]
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