pmnh wildlife portrait archive : plants

ツリフネソウ - Impatiens textorii - Touch-Me-Not

2308pl_tsurifuneso5694_w
8月になると、肉色の唇をしたこいつらがちらほらと咲き出して、ああもう夏も終わりなんだな、という気がしてくる。

それにしても奇怪な花だ。色も生々しいが、後に突き出た距の先が、巻き貝の実の端のように、或いはシュルレアリストの絵の生首のように、くるりと白く渦巻いているのがまず気になる。それから、ぽつ、ぽつと斑点が透けて見える白い魚の腹。正面に回ると、ぬめぬめ、てらてらと光る肉厚の花弁が、だらしなく開いている。

今はまだ道の脇や、小屋の玄関のところに少しずつ花が顔を出しているだけだが、もう少しするとあちら、こちらで花が増えて、まとまった数が一斉に咲くようになる。較べてみると器量の良い花もあるのだが、だいたいは、傷んだり、よじれたりして、あまり均整のとれたものがない。なんだか、ぺらぺら、ぐしゃぐしゃした感じになっている。

まぁでも純真な目で眺めれば(笑)、くるくると巻いたしっぽもかわいいし、全体の造形も、魚っぽいディテールも、個性的でおもしろい。上方から吊り下げるという方式も愉快だ。吊り下げ方は全然違うが、茅野にある藤森照信の「空飛ぶ泥船」と名付けられた茶室を、ちょっと思い出す。

写真はここ五年のものだが、だいたい、9月が一番多くて、8月、7月が少しという構成比。キツリフネ(黄色い近縁種)も同じように咲くが、どういうわけかまずキツリフネが咲いてから、ツリフネソウが咲き出し、しばらくはツリフネソウの時代が続いてから、キツリフネがまた追いついてくるという感じで開花する。対岸の水路沿いに、花畑のようにこいつとキツリフネが咲き乱れる場所があるが、もうしばらくすると、
ホシホウジャクが現れて、忙しく蜜を吸い出す、のを撮影する、というのが毎年の、秋の愉しみ。

2308pl_tsurifuneso@sannoike5694
2307pl_tsurifuneso@hashinoshita4566
2009tsurifuneso2381
1909tsurifuneso5681
2009tsurifuneso3437
1909tsurifuneso9897
2108pl_tsurifuneso7822
2009tsurifuneso2372
2308pl_tsurifuneso@sannoike5699
2009tsurifuneso2395
2009tsurifuneso2361
2007tsurifuneso0399



8/29 追加。今年もホシホウジャクが元気に出てきた。

2308le_hoshihojaku@taigannoharappa2719


[写真撮影: 2019-2023/07-08-09 - 長野県 - 草丈50cm内外 - 花長約30mm - 個人的博物館本館の「植物・菌類のページ」へ]
[photo data : 07-08-09/2019-2023 - Nagano, Japan - Balsaminaceae - height 50cm+ - Flower Length 30mm+- - go to "
plants & fungi" in the main site]
[Sleeker_special_clear]