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[這いずり日記] 長野方面 2015/冬その2

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うちの偉い人に、東京の家に客を泊めるから山へ行ってふとんを持ってきて頂戴、と命ぜられて山で三泊。

暖冬のせいか、今年の鳥はすくない。昨年のようにアトリやミヤマホオジロが群れている、ということもないし、一瞬現れたカヤクグリやマヒワなども、どこへ消えたか姿が見えない。確実なのはいつもの場所にいるカシラダカとルリビタキくらいだ。それでも、小屋の前の林に、何やらずんぐりした、茶色のツグミ大の鳥が来ているのが気になる。神経質に地面から飛び立ち、また地面に直飛する。直感に従えば、あれは普段見ているような鳥ではないはず。

鳥だけではなく鹿も兎もすくないのだが、今年の冬の特産物はカモシカで、前回の「こちら岸、小屋の500m上流でつがい母子」に続き、とうとう「こちら岸、小屋の300m下流で別な一頭」を確認した。つまり、小屋のあたりもほぼ生息・通過圏内に入ったことになる。ちょっと嬉しい。鹿と違って遭っても逃げないし、(先方による)個体識別の助けになるかと声をかけて呼びかけると、都度、音声を咀嚼するかのように、ぷるぷるっと片耳ずつ震わせるのも嬉しい。

そう言えば、妙な体験もした。林道をおりてきた時、5m位先の、お供え餅くらいの石の上に、何かがいたのだと思う。「じぇっ」とか「じゃっ」とか変な音がしたのと、その瞬間に何かが消えたことははっきりとわかった。羽音はしなかったから鳥ではないと思うが、とすると大きさから言ってネズミの類だろうか。

例年この時期は、晴れ、曇り、霧、雪、と一日のうちでも天候が目まぐるしく変わる。今年は暖冬のため、「雪」の部分だけ、「雨」に取って代わられている。昨年は同時期でもう氷点下10度まで下がっていたが、ことしはせいぜい-3℃(帰京の翌日 -5.6℃を記録した)。鳥もすくないし、気持ちも悪いから普通の冬で良いが、生活や往来がラクチンなのは否定しない。

春から虫達に栄養を供給していたハルジオンの最後の株がとうとう斃れ、また粘り強く残っていたアカツメクサの花が消えて、花も終わりか、と思ったけれど、よく見るとまだ西洋タンポポとカタバミが、地面に噛みつくような、めり込むような低さでまだ咲いている。うーん実にしぶとい。もちろん虫はほとんどいない。ただし近所の池を除くと、マツモムシ軍団は元気にすいすいと泳いでいる。不思議だがおもしろい。そして頼もしい。

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写真撮影 : 2015/12 - 長野県] [photo data : 12/2015 - Nagano]
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