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[這いずり日記] 長野方面 2015/初夏その2

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一週間、打ち合わせなどの用事を東京で済ませて、また山で一週間過ごす。


まぁ何というか、変な言い方だが初夏の真っ盛りだ。梅雨入りもしているから雨もよく降るが、雨が上がると陽射しが厳しくて、その陽射しを遮る草木もますます壮健である。鳥もすっかり安定して、ほぼ常駐のセンダイムシクイやノジコあたりを筆頭に、キビタキサンショウクイ、クロツグミ、ホトトギスなどが定期的に巡回して行く。

いろいろ花も咲いているから、虫を見るにも既に十分よい季節。蝶はヒオドシやイチモンジチョウ、まだ残っている
ウスバアゲハなどに混じって、メスグロヒョウモンが飛び出した。キマダラヒカゲが親しい。今年の初カミキリは、キンケトラカミキリ。ヘビの子もいるし、またオタマも出ているし、どの分野もほぼ出揃ったというべきか、熱帯の豊かさはないが、幕の内弁当のように、少しずつ、満遍なく目に入ってくる。

いろいろ嫌なことがあって本当のところはあまり余裕がないのだが、それでもよいこともあった。夏のオオムラサキが気になって、散歩の途中、周辺の林の中で食草のエノキをずっと探していた(なければ苗を植えようとさえ思っていた)のだが、ひょんなことから解決した。

植物に詳しい隣人に理事がその話をしたところ、あらエノキ。お宅の家の前にあるわよ。というのだ。一緒に検分したところ、家のちょうど目の前にある7-8m の木、すっかりケヤキだと信じて疑っていなかった木が、エノキならぬエゾエノキだという。本当だ。しかも、そこから隣地に分け入ると、一回り大きな株も一本生えている。なるほど、オオムラサキはこの二本のエゾエノキの間を飛んでいたのだった。

よくご存知ですね、と感嘆すると、私も最初はケヤキだと思っていたけど、あるいていて、実の形が違うのに気づいたの。おたくの家のまわりも、よく葉っぱを拾って研究してるわよ、などといって、ハルニレの苗までくれた。こちらは動くもの専門で植物はからっきしだが、なるほど知識というのは人知れず蓄えられているものだなあ、と今さらながら深く感心した。

(エゾエノキはエノキとは別種で、葉の形などは異なるが、どちらもオオムラサキの食草となる)

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[写真撮影 : 2015/06 - 長野県] [photo data : 06/2015 - Nagano]
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