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[這いずり日記] 長野方面 2015/春その1

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十日ほど山にいて、久しぶりに下りてきた。言うまでもなく、とてもよい季節。天気も良くて、暑くもなく、寒くもなく、大きな生き物はみな基本的に上機嫌だ。

鳥はだいたい揃ってきた。去年と同じ順番(おもしろい)で、クロツグミ、オオルリキビタキサンショウクイの順に現れた。ノジコやコサメビタキもひっそりと到着している。それから桜の開花にあわせてコムクドリが来た。今年の新顔としては、オシドリの夫婦とヤブサメ。ただし、全体に囀りは賑やかとまではいえない。クロツグミにしても朝晩のうす暗い時間には律義に囀るが、昼間は比較的静かだ。たぶん、個体数が多くなくて、余裕がある、あるいは張り合いがない、ということなのだと思う。

虫は基本的にはまずまずで、イボタガは五月とともに出現、オツネントンボは年中いるが、よく見るとホソミオツネントンボも混ざっている。甲虫はぼちぼち、鱗翅類、とくにタテハ方面は一時的に静か。アシナガバチなどは女王が徘徊し、双翅類も早いのは出揃った。昆虫以外ではクモは順調、
アマガエルも初認。

哺乳類では、つれあいを亡くしたと考えられる向かいの
リス君に、後添えが来た。この季節、ミズキの樹液がところどころ赤いプラスチックみたいに目立っているが、見ていると、夫婦でこの発酵した樹液の塊とやらを食べているのがわかる。しかも、心なしか、目を細め、陶然として口に入れている。大小いろいろ違いはあるが、同じ哺乳類ではあるし、ひとくち相伴させていただこうと思ったのだが、近寄ると怒るので果たせず。それから、川の向こうには久しぶりにカモシカも姿を見せた。鹿はずいぶん大きな群れ(15頭くらい)を形成している。

半分以上山にいれば、もはやそれが日常なのであって、用事というものも生まれてくる。だから、まぁ、人間ドックに行ったり、墓石屋と打ち合わせをしたり、いろいろそれなりにこの日々は忙しかった。お互いに馴れてきたということもあるが、生き物も新婚だったり、育児や婚活で忙しいから、僕等に気にせずに結構近くまで寄ってくることが多くなったのに気づく。カモシカみたいに、こちらから進んでヨッ!とあいさつすると警戒を半分解くのもいるし、
ヒヨドリみたいに、鳴いて呼ぶと都度やさしく「ふぃ?」と返事をするものも居る。

春でみな基本的に躁ということもあるが、なんとなく共有するものがある気がしてくるのはこういう時だ。

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[写真撮影 : 2015/05 - 長野県] [photo data : 05/2015 - Nagano]
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