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[這いずり日記] 長野方面 2014/初夏その4

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梅雨のまっただ中、日に日に緑が濃くなる山中の小屋へ、単独で四泊。


とにかく毎日雨が降っているので、なかなか観察に出られない。特にごうごうと山の雨が降る間は、手も足も出ない。それでも強弱のリズムはあるので、弱の時、オフの時にこっそり歩き出す。

雨の間は生き物も食料難なので、ヤマドリが足下を横切っていったり、赤鬼青鬼じゃなかったアカゲラアオゲラが目の前で代わる代わる幹をつついたり、それなりに面白い。もう雛もだいぶ育ってきて、ノジコ、クロツグミ、
オオルリの子が黄色い嘴でぽつねん、と止まっていたりする。

夜、虫を呼ぶために外に明かりをつけると、翌朝、シジュウカラが蛾の死骸を食べに来るのは知っていたが、深夜、そうして虫の写真を撮っていたら、背後に羽音がして、暗闇の中からシジュウカラが現れたのには驚いた。明確な意図を持っていて、壁に突撃し、止まっている蛾を銜えては後ろの木に戻る。 朝になると、今度は小屋では見たことのないキセキレイの夫婦が居座って、残った死骸をついばんでいる。近隣で寝ているであろうシジュウカラはわからぬでもないが、普段川にいるキセキレイはどうやって虫の集積を知ったのだろう。謎は多い。

雨続きなので、チョウは勢いがない。わづかに
コムラサキミドリヒョウモン。ただ注意深く見ると、ジャノメなど世代交代して、夏型の紋様になっているものも多い。そうか、二月前にいたものが、もう子供になっているか、と感慨も湧く。写真そのものは、鱗翅類よりも半翅類、つまりカメムシとかアワフキとか、の数が上回った。クワガタは出るが、カミキリは出ない。

獣はいるのだとは思うが、まったく痕跡をたどれなくなった。センサーカメラにも写らず、ただ行きがけ、3km ほど下の部落のはずれを車で通過する時、鹿の子を見かけた。

思いつくままに生き物の出入りを書いたが、一言で言えば、梅雨は子育ての季節。静かなようにも見えるが、着々と世代交代が進んでいるようだ。

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[写真撮影 : 2014/07 - 長野県] [photo data : 07/2014 - Nagano]
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