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[這いずり日記] 山口・川棚 2011/梅雨

そうそう、確かそう遠くないところに前に行き損ねた島があったはず、カラスバトかなんかいる。下関の所用を片づけた時、頭に思い浮かんだのは蓋井島だった。早速民宿を予約し、支度をしていたのだが、天気図を見ると台風が来ているではないか。

人に聞くと、行くのはいいが帰りの便までに帰ってこれないぞ、などと脅かされる。今回も縁がなかったかとすっぱり諦め、前日に予約を入れたばかりの民宿に断りの電話を入れると、宿の婆さんに、あんたさんも天気予報を見なさったか、よう決められたなあ、などと褒められて、次回こそ、という気持ちが固まるのだった。

さてそういうことで下関近辺で二泊。よく iPad で山頭火の旅行記も読んでいるし(どこから始めてどこで終えてもよいので旅向き)敬意を表してまずは川棚温泉に泊ることにした。のんびり、というか、どこかおっとりした感じのするところだ。泉質が放射能含有、というのが時節柄きついが、ともあれ、三恵寺、修禅寺、古刹とその周りの山を中心に歩いた。

鳥というにはやや遅くて、虫には多少早い。それに連日の風雨だから、写真には難しく、歩くには放射能騒ぎですっかり体が鈍ってもいて、これもまた堪えた。たいした鳥も虫も出ないような山で、重いカメラを濡れないように抱えてヨタヨタと歩く我が行動の妥当性について考えないわけにはいかなかったが、まぁこれは業のようなもの、抱えて重たいのは当たり前、などと考え考え、丘を上ったり、下がったり。山は思いの外深く、全体としては面白かった、ということにしておこう。

写真は蟹ヶ池。昔、蟹の化け物が現れて坊さんを試したという。海中の島にも惹かれるが、山中の池にはやはり抗いがたい趣を感じる。


[写真撮影 : 2011/06 - 山口県・蟹ヶ池] [Photo data : 06/2011 - Kanigaike Pond, Yamaguchi, Japan]
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