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[這いずり日記] 四国西南部・宿毛〜西海 2010/春

相変わらず多忙なのだが、松山で仕事があったタイミングをとらえて南に下り、五日ほど過ごした。南予は八幡浜・三瓶までしか行ったことがなかったので、宇和島から南は全くの新天地。下りついでに県境も越えて、宿毛・竜串あたりまで足をのばした。

愛媛高知の県境、いや決して存在しないのだからむしろ伊予土佐の国境とか書くべきかも知れないが、この周辺は僕にとって憧れの土地の一つだ。宮本常一や森下雨村の著作を通じて垣間見た、博労・木挽の人生や世捨て人の暮らし。原田政章の写真で知った厳しい半島の生活。そんなこんながひょっとしたら森の奥や岬の折畳みに亡霊のようにまだ隠れているかも知れない、などと妄想させる風土の「濃さ」が四国にはある。

虫にはまだ早くて、夏鳥は通り過ぎたり、或いは落ち着くところに落ち着いてしまっていて、動物観察的には期待したほどの盛り上がりはなかったのだが、廃村に至る林道をてくてくと上っていくと、向こうから当然のようにアナグマがとことこと下りてきたのには笑った。さすが狢の本拠地である。あとは、こちらに大口を開けてギチギチと叫ぶ燕や、場所によっては人より多そうなに遊んでもらった。新緑の緑や海の青が快かった。


[写真撮影 : 2010/04 - 高知県宿毛市] [photo data : 04/2010 - Sukumo, Kôchi, Japan]
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